アトックスのワークスタイル変革

最終更新日 2024年4月30日 by frozens

株式会社アトックスは、東京都港区に本社を置いている原子力発電所保守管理と放射性物質関連業務を行う企業です。
そのため主に原子力発電所などで、放射線の取扱業務を行っており、震災と原発事故を契機にワークスタイルの変革の必要性を痛感し社内システムで、固定電話を廃止してiPhoneの活用を通じクラウド化へ移行しました。
現在は自席に縛られない働き方の実現を取り組む会社としても注目されています。

 

約1,500名いる社員の約4人に1人は放射線取り扱い主任者の有資格者

通常放射線を取り扱う事業は国家資格が求められますが、有資格者の数ではアトックスは取得者が国内で最も多く、放射線のエキスパート集団であり約1,500名いる社員の約4人に1人は放射線取り扱い主任者の有資格者でもあります。
この会社の主な業務としては、研究所や大学、病院といった様々な放射線施設で放射線設備の運用や保守管理を行っています。
その中でもメインの事業となっているのが、原子力発電所の放射線管理や運用保守です。
一般的に原発関連の業務に従事している企業といえば、原発メーカーや電力会社、その関連会社が思い浮かぶといわれていますが、アトックスは電力会社や原発メーカーの原子炉には限定されず、日本人にある原発すべてをカバーリングすることが出来る強みを持ちます。
現在はワークスタイル変革を推進しており、この変革の契機となったのが2011年3月に発生した東日本大震災と福島原発の事故です。
アトックスは全国各地に多数の拠点があり、震災の際には北海道から茨城まで東日本エリアの拠点で大きな影響を受けています。
特に原子力緊急事態宣言による避難指示が出された際には福島で従事している従業員の居所確認や安否確認がまったく取れず、この際の深い反省からワークスタイル変革が取り組まれるようになりました。
東日本大震災と原発事故により数多くの拠点と、現地で働く多くの従業員が被災したことで事業の継続が一部で困難となります。

 

アトックスが着手した社内システムのクラウド化

この際に非常に困ったのが情報共有手段を多用化しておく重要性の高さです。
被災した従業員の多くが求めていたのが、その時の新しい情報をスピーディーに共有することでしたが、当時は携帯電話がつながらず、テレビやラジオで情報を得ることは非常に難しい状態であったため、被災した従業員に必要な情報を提供出来ませんでした。
そこでこういった情報共有のトラブルを防ぐために、アトックスが着手したのが社内システムのクラウド化です。
従来の方法は一部のファイルサーバーを各拠点に分散したのを除けば、基幹システムやメールサーバー、グループウェアサーバーなどは旧本社内に集約されていました。
本社がボトルネックになっていたことで、本社に障害が発生したり、本社を結ぶ拠点側の回線に障害が発生してしまうと社内システムが利用できなくなるデメリットがあります。
そこでセキュリティを担保にするためにも、アトックスではActiveDirectoryを活用した方法ではなくKDDIクラウドプラットフォームサービスに切り替え、クラウド基盤に社内システムを移行し事業継続性の向上を図りました。
実際にクラウドに移行するにあたり、非常に重視したのがネットワークの信頼性です。

 

システムの可用性が通信回線に依存してしまう

クラウド化するデメリットの一つが、システムの可用性が通信回線に依存してしまうことが挙げられます。
しかし高信頼のクラウドを選択しても、ネットワーク問題が起きてしまっては意味がなくなるため、KCPSの通信回線として同社のネットワークサービスを採用することにより、本社を含んだ各拠点からダイレクトにKCPSに閉域接続することが出来る環境を整えました。
以前はインターネットVPNを運用していましたが、ネットワーク障害が発生した際に従業員は何が原因でインターネット接続出来ないのか判断することが難しいです。
そこで監視の仕組みとして、クラウド移行するにあたり足回りの光ファイバーを含めたサポートを行ってくれるKDDIを選択するようになっています。
実際に社内システムをクラウド化したことで、可能性向上だけではなく業務のスピードアップや効率化、そしてBCP対策のためのワークスタイル変革も目的です。
以前までは各拠点のローカルサーバーなどにファイル保存をしておくことが一般的でしたが、現在はクラウド上にファイルを置くように従業員に推奨することで、必要な情報にいつでもどこでもアクセスすることが可能になっています。
このシステムの変更は必要なファイルが常にクラウド上にあることで、別の拠点に出向く際に必要な書類も印刷をして持ち出す手間が一切なくなります。

 

まとめ

また場所に依存しないIT環境は、災害時にも非常に役立ちます。
例えば拠点が被災してしまった場合も、従業員は近隣の拠点に移動することで社内ポータルやグループウェア、メールなどの必要な情報に簡単にアクセスすることが出来ますし、環境さえ確保することができれば普段どおりの業務を継続することが可能です。
 

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